一次情報は検索で探されない それでもSEOのために発信していく理由

既存の情報を整理して解説するのはAIの仕事
これまでのWebにおける情報発信は、「検索ボリュームという需要がある場所に、回答コンテンツを供給する」というシンプルなモデルで成り立っていました。一方で、独自の意見や判断などの一次情報を発信しても、検索ボリュームは小さく、大きな検索流入は期待できません。
従来のSEOの常識に照らし合わせれば、あらかじめ検索ボリュームが存在しないテーマで記事を書くのは非効率に見えます。しかし、情報流通の仕組みが大きく変わりつつある今、僕はこの旧来の常識を根本から捉え直す必要があると考えています。
あらかじめ検索ボリュームが存在する問いとは、すでに世の中に概念や答えが存在している既知の領域です。そして、既知の情報を解説することは、いまやAIが瞬時にやってのける仕事です。検索ボリュームがある場所を狙ってコンテンツを書くことは、すでに答えが出揃っている土俵でのAIと競争です。
検索ボリュームを追うSEOは構造的に限界
すでにある検索ボリュームを後追いするアプローチは、情報流通の仕組みが変わった現在、構造的な限界を迎えています。僕が考えるに、情報流通の仕組みには次のような変化が起きました。これによって、検索ボリュームを後追いし、既存の情報をまとめたり整理することの価値が消滅しました。
「コンテンツを読む」から「要約を見る」へ ── これまでは検索結果に並んだ記事をクリックして中身を読んでいましたが、一般的な事実やまとめは検索結果画面でAIが即座に要約してくれます。ユーザーがわざわざ個別の記事を訪問する必然性は急速に薄れています。
「役立つ情報」の価値低下と「誰の意見か」の価値上昇 ── 役立つ情報を発信すれば評価されましたが、AIが登場したことで、誰でも書ける客観的な解説はAIの回答だけで十分になりました。AIの登場後にも価値があるのは実際の専門家個人による主観的な見解や意見や判断です。
「アクセス数の競争」から「指名の競争」へ ── キーワード検索からの通りすがりのトラフィックは今後ますます縮小していきます。これからは通りすがりのアクセスを稼ぐことではなく「あの人はどう考えているのか」と名指しされる関係を築くことに価値があります。
しかし一次情報には検索ニーズがない
ここまで述べてきたような状況をふまえ、昨今では「一次情報を発信せよ」とさかんに言われています。一次情報とは、独自の調査結果や、独自の見解や意見など、それまで世に出ていない情報です。しかしこれには大きな問題があります。一次情報はまだ知られていないため検索ニーズがないことです。
検索ボリュームが小さいかまたは存在しない一次情報は、一見すると誰にも求められていないように見えます。しかし一次情報を発信し続けることには、書き手にとって決定的なメリットがあります。このメリットの前には、検索流入の少なさなどはまったく問題になりません。